
企業のロゴマークは、デザインとしての「著作権」と、ブランドを示す標識としての「商標権」の両方で保護されているケースがほとんどです。
そのため、企業に無断でロゴを改変したり、自社の制作物に自由に使用したりすることは、権利者から利用停止や損害賠償を求められる可能性がある行為にあたります。
「資料にはみんな使っているから大丈夫」「社内だけなら問題ない」「公式サイトからダウンロードしたからOK」という認識は危険で、実際には各社が定める利用規約・ブランドガイドラインの範囲内でのみ使用が許可されている、というのが正しい理解です。
企業ロゴを許可なく使用したり、規約に反する形で改変・掲載したりすると、主に次のようなリスクが発生します。
特にLINEやX、InstagramのようなSNS系のロゴは、企業の広告やLP、名刺など「対外的に発信する媒体」で使われることが多いため、規約違反があると発見されやすく、修正対応に追われるケースも少なくありません。
原則NGとはいえ、次の2つのケースでは企業ロゴの使用が認められています。
1. 公式のガイドラインで許可されている場合
各社のブランドガイドラインの範囲内であれば、SNSアイコンの設置やシェアボタンとしての使用など、企業が規約で認めている用途に限りロゴを使用できます。逆に言えば、ガイドラインの範囲を超える使い方(改変・加工・目立つ広告での使用など)は、たとえ「アイコンとして貼るだけ」であっても認められない場合がある点に注意が必要です。
2. 著作権法上の「引用」の要件を満たす場合
ニュース記事や比較・批評コンテンツの中でロゴ画像を用いる場合、著作権法上の「引用」の要件(著作権法第48条)を満たせば、権利者の許諾なく使用できる可能性があります。文化庁の解説によれば、引用として認められるには主に次の条件を満たす必要があるとされています。
(参考:文化庁「他人の著作物を利用したい場合など」)
ただし、あくまで文章や画像といった著作物全般に関する一般ルールであり、ロゴという商標としての性質を考えると、引用要件を満たしていても商標権の問題が別途生じる可能性はゼロではありません。LPやコーポレートサイトの通常のデザイン要素として使う場合は、引用ではなく公式ガイドラインの範囲内での使用を選ぶのが安全です。
各社のブランドガイドラインには細かな条件が定められていますが、共通して押さえておきたいポイントは次の通りです。
1. 必ず公式サイトから最新データを入手する
フリー素材サイトや検索でヒットした画像ではなく、必ずその企業・サービスの公式ブランドページからダウンロードしましょう。第三者が加工したデータや旧デザインのロゴが出回っているケースもあるため注意が必要です。
2. 色・形を変更しない
ロゴの色味や形状は、そのブランドを識別するための重要な要素です。デザインに馴染ませたいからといって色を変更したり、形を歪めたりすることは規約違反にあたります。
3. 規定の余白(アイソレーションエリア)を保つ
多くのロゴには「周囲にこれだけの余白を確保すること」というルールがあります。他の文字や装飾がロゴに近づきすぎないよう配置しましょう。
4. ロゴに他の要素を重ねない・改変しない
ロゴの上に別の図形やテキストを重ねたり、一部を切り取って使用したりする行為は、多くのガイドラインで禁止されています。
5. 商標表記が必要な場合は記載する
ガイドラインによっては、使用にあたって商標クレジット(®や™など)の表記を義務付けている場合があります。事前に確認しましょう。
6. 利用規約・ガイドラインを都度確認する
ロゴのデザインや使用条件は改訂されることがあります。過去にダウンロードしたデータを使い回すのではなく、制作のたびに最新のガイドラインを確認する習慣をつけることが安全な運用につながります。
制作現場で使用する機会の多い主要サービスについて、許可の要否・公式ロゴ配布ページ・補足事項を一覧表にまとめました。実際の制作前には、必ずリンク先の最新ガイドラインをご確認ください(2026年8月時点で内容を確認済み)。
サービス 許可の要否 公式ロゴ配布ページ 補足 LINE・LINE公式アカウント 用途によっては必要
(通常利用は不要)lycbiz.com/jp/logo プレスリリース・動画素材・LINEポイント訴求は要確認 X(旧Twitter) 要問合せ
(商用利用時)about.x.com/brand-toolkit 通常利用以外は個別に問い合わせが安全 用途によっては必要 about.meta.com/instagram-brand ライブ配信・ラジオ・OOH広告・A4以上の印刷物は要許可 用途によっては必要 meta.com/facebook/logo TV・デジタル広告・印刷パッケージのみ要許可(Meta企業ブランドは全用途で要承認) YouTube すべての用途で必要 brand.youtube 英語のBrand Use Request Formで事前申請 TikTok すべての用途で必要 tiktokbrandhub.com 書面許可制。テキスト表記のみ許可不要 Amazon すべての用途で必要
(要承認)advertising.amazon.com/brand-usage 「こちらで提供中」バッジのみ承認不要。Amazonロゴ本体は用途を問わず要承認 Adobe すべての用途で必要
(原則ライセンス制)adobe.com/legal/permissions/trad 正式なライセンス・許可がない限りロゴ使用は不可。PDFアイコン等一部素材のみ別ガイドラインで提供 Googleプロダクト 用途によっては必要 about.google/brand-resource-center スポンサー契約・営利目的・エンタメ用途は要許可 Microsoft/Bing すべての用途で必要
(ライセンス制)microsoft.com/trademarks 文字表記のみなら許諾不要な場合あり Yahoo! JAPAN(IDログインボタン) 用途によっては必要 developer.yahoo.co.jp 注意事項への同意と提供素材の使用が条件 note 原則不要 help-note.com ガイドライン内のルール遵守は必要 ※Facebookは「Facebookアプリ」のロゴと「Meta」企業ブランドでルールが異なります。表はFacebookアプリのロゴを基準にしています。
なお、各社のガイドラインに共通する点として
が挙げられます
「許可を取るのは手間がかかる」と感じる場合は、ロゴそのものを使わずにSNSアカウントの存在を伝える方法もあります。
弊社のようにLINEの構築やLステップ・LINE公式アカウント関連のサポート・運用を担う業務では、次のような場面でSNS・LINEロゴを使う機会が頻繁にあります。
こうした制作物は社外に配布・公開される性質上、規約違反があると発覚しやすく、修正対応にも時間がかかります。
制作に着手する前に、必ず公式のガイドラインページを確認し、最新のロゴデータを正規ルートから入手する運用を徹底することをおすすめします。
以上、企業ロゴの著作権・商標権と、安全な使い方について解説しました。今日の内容をまとめると以下の通りです。
LP制作やSNS運用の現場では、ロゴの取り扱い一つで企業の信頼性が問われることもあります。正しい知識を持って、安全にブランド資産を活用していきましょう。
※本記事は各社公式サイトの情報をもとに執筆しています。最新のルールは必ず各公式ガイドラインページをご確認ください。