【回避策】あがってきたデザインが、思っていたイメージと違う・・・

2026.06.04

LINE公式アカウントやLステップの構築プロジェクトにおいて、結構初期に不穏な空気が流れる瞬間がある。

それは、上がってきたリッチメニューやクリエィティブのデザインをクライアントに提出した際、「……うーん、なんか思っていたのと違うんですよね」と一言、突き返される瞬間です。

発注者は焦る。

なぜなら、自分はクライアントに言われた通りの要件を指示書にまとめ、デザイナーもその指示書通りに忠実に作ったはずだから。

何が違うのかをクライアントに尋ねても、「うまく言葉にできないけれど、もっとこう、すっきりというか、先進的な感じで……」と、明確な答えは返ってこない。こうして、誰も悪くないはずの終わりの見えない修正ラリーへと足を踏み入れることになる。

デザイン発注したことがある人の中で、この「なんか違う」を経験したことがない人は、いないのではないでしょうか?

今日のコラムは、潜むリスクとクライアントからの信頼を守るためのちょっとした工夫のお話しです。

表題の地雷を踏まない、 解決の糸口になったら幸いです!

誰も望んでいないすれ違いは、なぜ起こる?

すれ違いを解消するためには、まず制作現場における「構造」に目を向けてみましょう。

デザイナー(ライターや構築者も近しい)という存在は、ディレクターから指示が届いたその瞬間に、初めてその案件やクライアント企業の存在に出会う。文字通り、初めましての状態からスタートします。

対して、営業やディレクターはクライアントと対話を重ね、ときには雑談を交えながら膝を突き合わせて信頼関係を築いてきた時間があるはずです。

その一連のプロセスを通じて、発注側の人間が肌で感じ取った「企業の持つ空気感」や「経営者が言葉の端々に込めている主観的なニュアンス」は、引き継ぎのMTGや指示書1枚ではなかなか伝わりきらないことのほうが多いでしょう。

この些細な情報の断絶が、ミスマッチの根本原因のひとつです。

そして、LINE構築・運用に携わる私たちが、本当に気づき組織として恐れなければならないのは、この「初回提出のミスマッチ」から生まれる致命的なリスクです。

早い段階でアカウントの方向を決める、デザインの初回提出での「なんか違う・・・」は、単に「修正すれば済む」という手戻りの問題ではなく、これから、本格的なアカウント運用やマーケティング施策を共に始めようという、最も強固な信頼関係が必要とされる構築初期フェーズにおいて、クライアントに「この会社に任せて本当に大丈夫なのだろうか」という不信感と、猜疑心を植え付ける引き金となってしまうのです。

人は一度生まれた不信感は、その後の構築プロセス全体に確実に影を落とします。

最初に感じた違和感から、クライアントのチェックは必要以上に厳密になり、確認のプロセスは長期化し、納期は遅れ、プロジェクトは停滞する。結果として社内の人的リソースは浪費され、案件ごとの利益率は低下していく。

そんな事例はありませんか?

誰も幸せにならないこの負の連鎖を組織として未然に防ぎ、会社の利益とメンバーの情熱を守り抜く!!!そんな情報・認識共有の仕組みを、一緒に再考してみませんか

デザインに正解はない。だから全員で同じ景色を眺める

陥りがちな誤解なのですが、デザインにおける「正解」など存在しないのです。

アタリをつけることはできますが、マーケティングの成果が最大化するかどうか、どのクリエイティブが最もエンドユーザーに刺さるのかは、実際のアカウントを運用してPDCAを繰り返し、数値を回してみるまで誰にもわからないのが現実です。

だからこそ、顧客を含めたプロジェクトに関わる全員が「どれが正しいデザインか」と迷い込むのをやめ、まずはクライアントが求めている「希望の着地点」を早い段階で認識・共有し、同じ景色を眺めることが重要になります。

お金を払ってアカウント構築を依頼するクライアントには、必ず叶えたいビジネス上の目的や、自社の顧客に届けたい何かしらのイメージがあります。

デザインにこだわりは無い・・?それでもそのクライアントには何らかの理想があるはずです。それを丁寧に拾って、確実な手応えを感じてください。

ディレクターに必要な「話を聞く技術」

ディレクターがデザイナーに正しいバトンを渡すために、グラフィックの知識やデザインのセンスは一切必要なく、必要なのは「相手の話を聞く技術」です。

クライアントが口にする「デザインのことはよくわからないから、お任せします」という言葉を、文字通りに受け取って思考停止してはだめです。

その言葉の裏には、「自分たちのビジネスの強みをプロの視点で適切に表現してほしい」という期待や、「何が最適かわからないから、一番成果がでるものを提案してほしい」という不安や願望が隠されています。その潜在的なニーズを対話によって引き出し、言語化・可視化していくことこそがディレクターの果たすべき役割であると思います。

デザイナーに必要な「背景を理解する姿勢」

一方で、受注側であるデザイナーも、単なる「指示の作業者」になってはだめです。「指示書通りに作ったのに・・」「全然イメージが伝わらない・・」という姿勢では、いつまで経ってもイメージのズレは無くなりません。

ただ指示を待つだけでなく、そのビジネスの背景や、なぜこのアカウントを作るのかという目的をディレクターと共に理解しようとする姿勢です。営業やディレクターがクライアントから受け取ってきたバトンを、自分も同じ熱量で受け取る姿勢が必要となります。

ひとつ1時間かかるデザインを3回リテイクするくらいなら、1時間かけてイメージが固まるまで質問した方がコスパがいい。

デザイナーに必要なのは「質問力」と具現化スキルです。

ゴールは頭にビジュアルが浮かんでいること

デザインのミスマッチが起きる最大の原因は、発注者自身の頭の中に「完成形のビジュアル」が描けていない段階で、制作を依頼してしまうことに尽きます。

発注者側が思い描けていないイメージを、デザイナーが鮮明な形にできるわけがないですよ。

デザインに限らず、チームメンバーに何か業務を依頼する際にも、正解が何か?ゴールはどこか?を伝えていないと、認識違いが起こります。

ヒアリングの本当のゴールは、クライアントとの対話を通じて、発注者自身の脳内にある程度の明確なビジュアルの骨組みが浮かび上がっている状態を作ることです。

「お任せします」を打破するビジュアルの提示

クライアントの頭の中にある曖昧なイメージを具体化するために、言葉だけでコミュニケーションを取るのは限界があります。

そこで実務上、絶対に欠かせないのが「すでに世の中にある既存ビジュアル(WEB上の事例、他社のアカウント、バナーまとめサイトなど)」をディレクター自ら探し、クライアントと一緒に感覚をすり合わせます。「シンプルなデザイン」「高級な雰囲気」「誠実なイメージ」というイメージは個人差があることは嫌というほど知っていますね。

特に女性は一つの形容詞に20近い明確なラインがあると言われています。(発注者が女性である場合、細かすぎるくらい丁寧なヒアリングは、信頼を獲得できる小技です)

ディレクターがいくつかの異なるテイストの参考画像を見せながら、「こちらのイメージのシンプルな方向性ですか?それとも、こちらのような落ち着いたシンプルですか?」と問いかける。そこでクライアントから「そうです、これ!この右側のイメージです」という言葉を引き出せて初めて、視覚的な合致が生まれます。

この「これこれ!」をクライアントとディレクターの間で握り合うプロセス、これがヒアリングです。

頭の中にイメージがないものは、世界最高のデザイナーであっても具現化はできないんです。(でも良いものできそう)

人的リソースに頼らない「ヒアリング」の仕組み化

こうしたプロセスを、一部の優秀なディレクターの属人的なスキルや、とりあえず投げたら良い感じに仕上げてくれるデザイナーに頼るのではなく、組織全体で標準化するために「ヒアリング」を強化しましょう。

方法は様々ですが、ヒアリングのフローを体系化する、ヒアリングシートを導入する。両者のイメージが揃っているかを確認してから、依頼・制作へ進めるなど。

言葉の曖昧さを排除し、誰もが同じ精度でクライアントのイメージを同期させられる工夫を用意することで、リソースの無駄遣いやヒューマンエラーは劇的に減少するはずです。

【手戻りリスクを最小化する制作プロセス】
[ステップ1:構成・ワイヤーフレーム(要素の配置確認)] ↓ (必要な情報や配置、優先順位にズレがないか)
[ステップ2:デザインラフ・トーン&マナー確認] ↓ (色味やフォント、全体の空気感の方向性が合っているか)
[ステップ3:最終ビジュアル(カンプ)の制作・納品

このように、レイアウト(骨組み)とデザイン(肉付け)を切り分けてコマメに確認を入れることで、「最後まで作ったのに、土台からひっくり返る」という最悪の事態を回避することが可能となります。

デザイナーから意図しない成果物があがってきたら、自分が自信を持ってクライアントへ提案できるデザインに仕上がるまで修正をしましょう。

「わかりました」と引き受ける前に

制作ラリーが長期化する現場において、デザイナー側が陥りがちな癖があります。

指示を受け取った際に「わかりました、作ります」と、疑問や違和感を残したまま制作に入ってしまうことです。

一見、素直でスピーディーな修正対応に見えますが、デザイナーは本当にこれでいいのかな?と思いながら提出し、ディレクター側もまぁもうこれでいいか。と受け取る状況も、よくあると思いませんか?

デザイナーが身につけるべきは、表面的な指示の裏にある本質を見るための「質問力」です。

「自分が発注者だったら」という想像力

デザイナーは着手前に、「もし自分がこのプロジェクトにお金を払っている発注者(経営者やクライアント)だったら、何を作ってほしいか、どの情報が足りないか」を想像してみましょう。

営業やディレクターが掴んできた「クライアントの想い」は、すべてが指示書に書ききれているわけがない。

だからこそ、つくる側も積極的に、相手をリスペクトしながら問いかけを返す必要があります。

  • 「ターゲットは40代の経営者とのことですが、この画像のようなトーンはカチッとした士業のような信頼感に寄せますか?それともベンチャーのような先進性が好ましいですか?」

  • 「このリッチメニューの訴求ボタンはこの2つになるかと思いますが、最もユーザーに押してほしい一番のゴールは何ですか?」

このように、デザイナー側から具体的な選択肢を持ってディレクターに逆引きの質問を投げかけることで、指示書の行間に隠されたニュアンスや空気感が鮮明になっていきます。

提出後に「なんか違う・・」と拒絶されるより、制作前に数分間の対話をして認識のズレを修正する方が、会社にとっても、チームにとっても、圧倒的に生産的だと考えます。

ヒューマンエラーをなくしてこう

どれだけ気をつけていても、人間が言葉だけでコミュニケーションを取っている以上、誤解やすれ違いといったヒューマンエラーは必ず発生します。

組織の利益を守り、無駄なリソースの消費を抑えるためには、個人の注意力に依存するのではなく、エラーが発生しない「仕組み」を構築することが最善です。

マジックワードの排除

「なるはやで」「よしなに」「いい感じに」「女性ウケしそうな感じで」

そういった人によって定義が異なる個人の「主観と感覚」を排除することです。

「スタイリッシュ」ではなく「この画像にイメージは近いです、背景はダークグレーや黒基調で、フォントは明朝体を使用し、余白を広めに取ったデザインで」。

「競合サービスとの最大の差別化ポイントである『24時間対応』という文字を、こんな感じで他の要素よりも目立つように配置して欲しいんです」。

方法を細かく縛る必要はないが、何を目的として何のために何をどうしたいのかという「意思」を、曖昧な言葉を使わずに共通言語で伝える意識が必要です。

ディレクターがすべて準備する必要はありません。必要ならもっと前段階で参考のリサーチをデザイナーに依頼すると、デザイン面からの顧客への提案も可能になります。

一番楽なのは、既存デザインのビジュアルを共有するプラットフォーム活用を標準化する。(実務においては、PinterestやWebデザインのギャラリーサイトなど)

ディレクターがクライアントと打ち合わせをする際、その場でリアルタイムでイメージのすり合わせを行い、なるべく早くクライアントと現場で共有した「空気感」をデザイナーへ伝えることができたら、伝わり方は格段に飛躍するでしょう。

明日からチームで始められる5つのステップ

誰も悪くない。みんながクライアントのために、会社の利益のために仕事に向き合っています^ ^

だからこそ、その情熱が無用なラリーや不信感によって摩耗される未来は、組織として回避していきたいことです。

明日からあなたのチームで実践できる、認識ズレを減らすための5つのアクションプランはこちらです。

  • ステップ1:ナレッジを共有するクライアント情報の格納場所を一つにし、最新情報や背景を必要な時に誰でも確認できる仕組みつくりを進める。

  • ステップ2:視覚的ビジュアルでの合致 クライアントとの打ち合わせには、必ず事前にリサーチした参考事例を持参し、視覚で「着地点の合致」を握る。

  • ステップ3:制作着手前の10分間のすり合わせ 指示を出す際、書類を投げるだけではなく、会話をする時間を設ける。そこでデザイナーからの逆引きの質問を受け付け、行間のニュアンスを同期させる。

  • ステップ4:中間確認フローを導入する レイアウト構成案の段階で、情報の優先順位や文字要素の過不足がないかをチーム、そしてクライアントと確認する。

  • ステップ5:成果データ(数値)を共有する アカウントが動き出したら、集まったデータを必ずチーム共有する。「作った結果、どうだったのか」という事実を全員で蓄積していくことで、チーム全体のディレクション力とデザインの精度は磨かれていくことになると思っています。

大きな仕事を、チームの強みを掛け合わせて形にしていく。クライアントも、営業も、ディレクターも、デザイナーも、目指しているゴールは同じはず。

だからこそ、すれ違いでちょっと傷ついたり、無駄なラリーで疲弊してしまったりするのは、本当にもったいない。

「良いものを作って、届けたい相手に届けたい!」という想いをカタチにするプロセスは、本来もっとワクワクするものであり、お互いの強みが重なり合う最高の瞬間であるといいですね!

私たち、同じ方向向いてるよね?と都度確認し合えたら、現場の空気はじんわり優しく、そして前向きに変わり始めると思います。

そんな素晴らしい体験を、ぜひあなたのチームでも分かち合っていけることを、心から応援しています。

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