LINE公式アカウントに生成AI搭載「AIチャットボット(β)」が登場|月額3,000円で24時間自動応答を実現

2025.12.02

はじめに

LINE公式アカウントを運用する企業にとって、顧客からの問い合わせ対応は重要な業務である一方で、営業時間外の対応や人的リソースの確保に課題を感じている方も多いのではないでしょうか。特に深夜や休日に届く問い合わせへの対応遅延は、顧客満足度の低下につながる可能性があります。

2025年11月13日、LINEヤフー株式会社は、こうした課題を解決する新機能として、生成AIを活用した「AIチャットボット(β)」を発表しました。この記事では、この新機能の詳細から導入メリット、料金体系、設定方法まで、企業のマーケティング担当者や経営者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

 

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LINE公式アカウント「AIチャットボット(β)」とは

AIチャットボット(β)は、LINEヤフーが提供するLINE公式アカウントの有料オプション「チャットProオプション」に追加された新機能です。この機能の最大の特徴は、生成AIがユーザーからのチャット内容を自動で判別し、事前に設定したQ&Aデータベースの中から最適な回答を選択して自動返信する点にあります。

従来のLINE公式アカウントでは、基本的なキーワード応答機能は存在していましたが、今回の新機能では生成AI技術を活用することで、より柔軟で自然な対話が可能になりました。OpenAIのAPIを使用しており、ユーザーの質問意図を理解した上で適切な回答を提供できる仕組みとなっています。

この機能は2025年11月から提供が開始されており、チャットProオプションを契約している企業であれば誰でも利用できます。ベータ版としてのリリースではありますが、すでに多くの企業が顧客対応の効率化ツールとして注目しています。

 

AIチャットボットの主要機能

生成AIによる自動応答機能

AIチャットボットの中核となる機能が、生成AIによる自動応答システムです。ユーザーから送信されたメッセージを生成AIが分析し、管理画面で事前に設定されたQ&Aリストの中から最も適切な回答を選択して自動的に返信します。

この機能により、単純なキーワードマッチングでは対応できなかった多様な表現や言い回しに対しても、適切な回答を提供できるようになりました。たとえば、ユーザーが「何時まで開いていますか」「営業時間を教えてください」「今日は営業していますか」といった異なる表現で質問した場合でも、AIが意図を理解して営業時間に関する同一の回答を返すことができます。

PDFや画像からのQ&A自動生成

AIチャットボットのもう一つの革新的な機能が、PDFファイルや画像データから自動的にQ&Aを生成する機能です。企業が保有する既存の資料やマニュアル、商品カタログなどをアップロードするだけで、生成AIが内容を解析し、想定される質問と回答のペアを自動的に作成します。

対応ファイル形式はPDF、JPEG、PNGで、企業側は膨大な時間をかけてQ&Aを手動で作成する必要がなくなります。生成されたQ&Aは管理画面上で確認でき、必要に応じて編集や追加も可能です。この機能により、導入時の初期設定の負担が大幅に軽減されます。

柔軟なQ&A管理機能

生成されたQ&Aや手動で作成したQ&Aは、LINE Official Account Managerの管理画面上で自由に編集・追加できます。管理方法は用途に応じて選択可能で、テンプレートを使用した個別作成、管理画面上での直接編集、CSVファイルによる一括登録といった複数の方法が用意されています。

この柔軟性により、小規模な店舗から大企業まで、それぞれの規模や運用体制に合わせた管理方法を選択できます。特にCSV一括登録機能は、数百件以上のQ&Aを管理する大規模運用において、効率的なデータ管理を実現します。

デモ画面での動作確認

実際にユーザーへ自動返信を開始する前に、デモ画面で動作確認ができる機能も提供されています。この機能により、設定したQ&Aが意図通りに機能するかを事前にテストでき、本番運用前のリスクを最小限に抑えることができます。

2025年11月12日以降、このQ&A登録と動作確認機能は、チャットProオプションを契約していないアカウントにも順次提供される予定です。これにより、導入前に機能を試してから契約を判断できるため、企業側の導入ハードルが下がることが期待されます。

導入によって得られる5つのメリット

24時間365日の即時対応が可能

AIチャットボットを導入する最大のメリットは、時間や曜日に関係なく、ユーザーからの問い合わせに即座に対応できる点です。従来は営業時間外や休日に届いた問い合わせは翌営業日まで待たせる必要がありましたが、AIチャットボットがあれば深夜でも休日でも即座に回答を提供できます。

特にEコマースやサービス業など、顧客が時間を問わずアクセスする業種では、この即時対応能力が顧客満足度の向上に直結します。問い合わせから回答までの待ち時間がゼロになることで、顧客の購買意欲を維持し、機会損失を防ぐことができます。

人的リソースの大幅な削減

頻繁に寄せられる定型的な質問への対応をAIに任せることで、カスタマーサポート担当者の業務負担を大幅に軽減できます。LINEヤフーは、本機能により有人対応の工数軽減につながるとしています。

なお、一般的なAIチャットボットの導入事例では、一次対応の自動化により大幅な工数削減が報告されていますが、具体的な削減率は企業の運用状況や設定内容によって異なります。削減できた人的リソースは、より複雑な問い合わせへの対応や、顧客との関係構築といった付加価値の高い業務に振り向けることができます。これにより、サービス品質の全体的な向上が期待できます。

対応品質の均一化

人間が対応する場合、担当者のスキルや経験、その日の体調などによって回答の質にばらつきが生じることがあります。しかしAIチャットボットを使用すれば、すべてのユーザーに対して常に同じ品質の回答を提供できます。

また、設定されたQ&Aに基づいて回答するため、誤った情報を伝えるリスクも低減されます。企業として統一されたメッセージを確実に届けられることは、ブランドイメージの維持や法的リスクの回避にも貢献します。

顧客データの蓄積と分析

AIチャットボットとの対話履歴は自動的に記録されるため、どのような質問が多いのか、どの時間帯に問い合わせが集中するのかといったデータを蓄積・分析できます。このデータは商品開発やサービス改善、マーケティング戦略の立案に活用できる貴重な資産となります。

特に顧客の潜在的なニーズや不満点を発見する手がかりとなり、プロアクティブな改善活動につなげることができます。

段階的な導入とコストパフォーマンス

月額3,000円(税別)という比較的低コストで導入できる点も大きなメリットです。大規模なシステム開発や高額な初期投資が不要なため、中小企業でも導入しやすい価格設定となっています。

また、完全に有人対応をなくす必要はなく、簡単な問い合わせはAIが対応し、複雑な案件は人間が対応するというハイブリッド運用も可能です。企業の規模や体制に応じて、段階的に自動化を進めることができます。

料金体系と利用条件

チャットProオプションの概要

AIチャットボット(β)を利用するには、「チャットProオプション」への加入が必須です。チャットProオプションは2025年3月から提供されている有料オプションで、保存データの拡張機能、チャット管理機能、運用効率化機能など、LINE公式アカウントのチャット機能を拡張するサービスです。

このオプションは、LINE公式アカウントのLINEチャット機能をより便利に活用したい企業向けに設計されており、AIチャットボット以外にも様々な機能が含まれています。

料金

チャットProオプションの料金は月額3,000円(税別)です。この料金には、AIチャットボット機能だけでなく、チャットProオプションで提供されるすべての機能が含まれます。

初期費用や解約金は発生せず、LINE公式アカウントの管理画面上から簡単に申し込むことができます。従量課金ではなく定額制のため、問い合わせ数が増えても追加料金が発生しない点も安心です。

利用対象

AIチャットボット(β)は、チャットProオプションを契約しているすべてのLINE公式アカウントで利用可能です。ただし、業種や内容によっては利用できない場合があります。LINEヤフーが対象外と判断した業種やアカウントには機能が提供されないため、導入を検討する際は事前に確認が必要です。

なお、Q&A自動生成機能やデモ画面での動作確認については、2025年11月12日以降、チャットProオプション未契約のアカウントでも順次利用可能になります。これにより、導入前に機能を試すことができます。

AIチャットボットの設定方法

チャットProオプションへの加入

AIチャットボットを利用するには、まずチャットProオプションに加入する必要があります。LINE Official Account Manager(管理画面)にログインし、設定メニューからチャットProオプションを選択して申し込みます。申し込み後、すぐに利用開始できます。

Q&Aの作成方法

Q&Aの作成には複数の方法があります。最も簡単な方法は、既存のPDFファイルや画像データをアップロードして、AIに自動生成させる方法です。商品カタログ、FAQ資料、サービスマニュアルなどをアップロードすると、AIが内容を解析してQ&Aを作成します。

手動で作成する場合は、管理画面上でテンプレートを使用して個別に作成するか、CSVファイルで一括登録する方法があります。どちらの方法で作成したQ&Aも、後から編集や追加が可能です。

Q&Aの確認と編集

AIが自動生成したQ&Aは、必ず内容を確認して適切に編集することが重要です。生成されたQ&Aが企業の方針や正確な情報と一致しているか、表現が適切かを確認し、必要に応じて修正します。

また、該当する回答が見つからない場合に表示されるメッセージも設定できます。初期設定では「適切な回答がありません」と表示されますが、企業のトーンに合わせてカスタマイズすることをお勧めします。

デモ画面での動作テスト

本番運用を開始する前に、デモ画面で動作確認を行います。様々なパターンの質問を入力して、AIが適切な回答を選択できるかをテストします。想定していない回答が返される場合は、Q&Aの設定を見直します。

十分なテストを経て問題がないことを確認したら、実際のユーザーへの自動返信を有効化します。

運用開始後の調整

運用開始後も、ユーザーからの実際の問い合わせ内容を分析し、必要に応じてQ&Aを追加・修正していくことが重要です。AIが適切に回答できなかったケースを確認し、継続的に改善することで、より高い精度の自動応答を実現できます。

利用時の注意点と制限事項

ユーザー側の設定が必要

AIチャットボットによる自動返信を受け取るには、ユーザー側で「LINE公式アカウントAI機能での情報利用」設定をオンにする必要があります。この設定がオフになっているユーザーには、自動返信は行われず、代わりにAI機能の利用許可を促すメッセージが送信されます。

プライバシーに敏感なユーザーはこの設定をオフにしている可能性があるため、すべてのユーザーに自動返信が届くわけではないことを理解しておく必要があります。

グループトークでは機能しない

現時点では、グループトーク内での自動返信には対応していません。AIチャットボットが機能するのは、企業アカウントとユーザー個人との1対1のチャットのみです。

ベータ版であることの理解

本機能は「(β)」と表記されている通り、ベータ版としての提供です。そのため、AIの判断精度や安定性については、今後さらなる改善が行われることが想定されます。運用開始時は慎重に監視し、問題が発生した場合は迅速に対応できる体制を整えておくことが望ましいです。

OpenAI APIの利用

本機能はOpenAIのAPIを使用しており、LINEヤフー共通利用規約が適用されます。また、利用開始には管理画面上で「AIチャットボット(β)に関する注意事項」への同意が必要です。データの取り扱いやプライバシーポリシーについて、事前に確認しておくことが重要です。

対象外業種の存在

すべての業種で利用できるわけではなく、LINEヤフーが対象外と判断した業種やアカウントには機能が提供されません。導入を検討する際は、自社の業種が対象に含まれるかを事前に確認する必要があります。


参考リンク

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まとめ

まとめ

LINEヤフーが2025年11月13日に発表した「AIチャットボット(β)」は、LINE公式アカウントを運用する企業にとって、顧客対応の効率化と顧客満足度向上を両立できる画期的な機能です。

生成AIを活用した自動応答機能により、24時間365日の即時対応が可能になり、人的リソースの削減と対応品質の均一化を実現できます。PDFや画像から自動的にQ&Aを生成する機能により、導入時の負担も大幅に軽減されます。

月額3,000円(税別)というコストパフォーマンスの高さも魅力で、中小企業でも導入しやすい価格設定となっています。ただし、ユーザー側の設定が必要であることや、ベータ版であることなど、いくつかの制限事項も理解しておく必要があります。

AIチャットボットの導入を検討する際は、まずQ&A自動生成やデモ画面での動作確認を試し、自社の運用に適しているかを確認することをお勧めします。段階的に導入を進めることで、有人対応とAI対応の最適なバランスを見つけることができるでしょう。

顧客接点のデジタル化が加速する現代において、AIチャットボットは企業の競争力を高める重要なツールとなります。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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