
LINE公式アカウントの運用をご担当されている皆様にとって、最初の、そして最大の関門となるのが「友だち集め」ではないでしょうか。
そのための強力な施策となるのが「LINE友だち追加広告」ですが、いざ運用を始めてみると、「なかなか獲得単価(CPA)が良くない」「友だち追加はされるけど即ブロックが多い」といったお悩みに直面されることも多いかと存じます。
実はその原因、広告の配信設定やターゲット選定以前に、ユーザーが一番最初に目にするクリエイティブにあるかもしれません。
今回は、普段さまざまな企業の広告制作に携わっているデザイナーの視点から、プロでなくても実践できる「反応が変わる制作のヒント」や「最近のトレンド」について、少し専門的な話をお伝えできればと思っております!
目次
制作の細かなテクニックに入る前に、少しだけ想像してみてください。
InstagramやX(旧Twitter)といった他のSNSと、LINEの違いは何でしょうか?
多くのユーザーにとって、LINEは家族や友人、パートナーなど、身近な人と連絡を取り合うためのプライベートな空間のような場所です。
そこに突然、企業色の強い「いかにも宣伝です!」といったギラギラした広告が現れると、どう感じるでしょうか。
くつろいでいる時に、突然訪問販売員が入ってきたような「異物感」を覚え、無意識にスクロール(スルー)してしまう方が多いのです。
私たちデザイナーがLINE広告を作る際に最も大切にしているのは、タイムラインの空気に馴染ませながら、自然に興味を惹くという、少し繊細なバランス感覚です。
「広告を見せる」のではなく、「ユーザーの日常に、あ!これ気になる・・とフックになるような有益な情報をお届けする」というスタンスが、結果として成果につながりやすくなります。
では、具体的にどのような点に気をつければ、「異物感」を与えずに興味を持っていただけるのでしょうか。
LINEヤフー社の公式の最新トレンド情報や、実際の制作現場での経験を整理すると、以下の3つのポイントが見えてきます。
ユーザーが「友だち追加」のボタンを押すのは、その企業を応援したいからではなく、「自分にとって何か良いことがあるから」です。
いくら写真が美しくても、「何が得られるのか」が分からなければ指は動きません。
デザインの中に、以下のような「ベネフィット(便益)」を分かりやすく配置することが大切です。
具体的な数字: 「500円OFFクーポン」「3つの特典プレゼント」など。
限定感: 「〇〇店限定」「今だけ」といった特別感。
役立つ情報: 「失敗しない家づくりのコツPDF」など、得られる知識の提示。
「一番伝えたいメリット」は、画像の上部や中央など、自然と目線が行く場所に配置してみてください。文字の大きさ(ジャンプ率)にメリハリをつけると、パッと見た瞬間に「これは自分に関係がある!」と伝わりやすくなります。
PCの大きなモニターで画像を作っていると、つい見落としがちなのが「スマホでの見え方」です。
実際のスマホ画面は意外と小さいものです。文字が小さすぎて読みにくかったり、今風のニュアンスカラーを取り入れすぎて淡い色が背景に埋もれてしまったりしていませんか?
情報はシンプルに: 言いたいことは沢山あると思いますが、要素をグッと絞りましょう。
コントラストをはっきりと: 背景色と文字色の明暗差をつけると、パッと見の視認性が高まります。
LINEカラーとの兼ね合い: LINEの画面(緑や白)に同化しすぎないよう、アクセントカラー(赤やオレンジなど)を取り入れるのも一つの手です。
文字量が多いと、脳が「読むのが面倒だ」と判断し、内容を理解する前にスルーしてしまいます。(スマホ画面での「0.5秒の壁」)
パッと見て「何のメリットがあるか」が伝わるように訴求内容を絞りましょう。
もし、「今の画像、文字が多すぎるかな?」と迷われた際は、「スマホを持った腕を真っ直ぐ伸ばして、遠目で画面を見た時に、一番伝えたい言葉がパッと読めるか?」を試してみてください。
画像全体がリンクになっていることは、事業者側はわかっていても、ユーザーには意外と伝わりにくいものです。
「詳しくはこちら」「友だち追加する」といったボタンのようなデザインをあえて画像内にあしらったり、指先でタップしているようなアイコンを入れたりすることで、「次はどうすればいいか」をガイドすることができます。 これだけで、クリック率が改善されるケースも珍しくありません。

ここからは、明日からのクリエイティブ制作ですぐに取り入れられる、具体的なアイデアをご紹介します。
「実写が良いのか、イラストが良いのか」と迷われることがあるかもしれません。これは、商材やターゲット層に合わせて使い分けるのがおすすめです。
写真(実写): 飲食店、美容室、コスメなど。「美味しそう」「効果がありそう」といったリアルな感覚(シズル感)や、店舗の雰囲気を伝えたい時に適しています。信頼感を高める効果があります。
イラスト: サービス紹介、金融、教育など。少し難しそうな商材でも、イラストを使うことで親しみやすさを出し、心理的なハードルを下げる効果が期待できます。
最近の傾向として、プロが撮影した完璧すぎる写真よりも、「スマホで撮影したような、自然な写真」の方が反応が良いケースが増えています。
これをマーケティング用語で「UGC(ユーザー生成コンテンツ)風」と呼ぶこともありますが、要は「友だちの投稿」のように見えるクリエイティブです。
過度な加工をせず、ありのままの様子を見せることで、広告臭を消し、ユーザー様の警戒心を解くきっかけになることがあります。
サイズは「正方形」から始めてみましょう.。LINE広告にはいくつかのサイズがありますが、友だち追加広告では「Square(正方形 1080×1080px)」をおすすめすることが多いです。スマートフォンの画面を占める面積が広く、情報が見やすいため、サイズ選びに迷われた際はまずこの形から試してみるのが良いでしょう。

ここまでデザインのコツをお話ししてきましたが、実は一番大切なことがあります。 それは、「最初から100点満点を目指さなくて良い」ということです。プロのデザイナーであっても、一発で大当たりのクリエイティブを作るのは至難の業です。
大切なのは、いくつかのパターンを試して(A/Bテスト)、ユーザーの反応を見ることです。
A案 キャッチコピーを、「お得さ」重視と「お悩み共感」重視で分けてみる。
B案 メイン画像を、「人物」と「商品アップ」で変えてみる。
このように比較検証(PDCA)を繰り返すことで、「自社のお客様にはこのパターンが響くんだ」という勝ちパターンが見えてきます。
審査落ちやパフォーマンス低下を防ぐために、避けていただきたいポイント
文字の詰め込みすぎ: 画像内の文字量が多すぎると(全体の20%以上が目安)、圧迫感が出てスルーされやすくなります。
誇大表現: 「絶対に痩せる」「世界一」など、根拠のない強い表現は、LINEの厳格な審査基準に触れる可能性があります。
誤解を招くデザイン: 実際には機能しない「×ボタン」の装飾などは、ユーザー様を戸惑わせてしまうため避けましょう。
LINE友だち追加広告のクリエイティブにおいて大切なのは、デザインの美しさよりも、「情報の伝わりやすさ」と「行動したくなるきっかけ作り」だと感じています。
一度作って終わりにするのではなく、配信結果を見ながら、「もう少し文字を大きくしてみようかな?」「写真はこっちの方が親しみやすいかな?」と、試行錯誤(PDCA)を重ねていくことが、成果への一番の近道です。
まずは、「ユーザーにとってのメリットが、パッと見て一瞬で伝わるかな?」という優しい視点で、現在のクリエイティブを見直してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

「今のクリエイティブで本当に大丈夫かな?」と不安な場合や、具体的な広告クリエイティブの作成をご希望の場合は、ぜひMARKELINKへお気軽にご相談ください。
あなたの事業において最適なデザインを一緒に探していきましょう!
本記事の作成にあたり、以下の公式サイトおよび情報を参考にいたしました。
LINEヤフー株式会社 (2025). “【LINE友だち追加広告】友だち獲得単価(CPF)を改善するためのクリエイティブのコツ” . LYC BIZ.
LINEヤフー株式会社 (2025). “【LINE広告】クリエイティブ制作のコツ(静止画・動画)” . LYC BIZ.
※ 本記事内でご紹介した「デザインの視点」に関する記述は、上記LINEヤフー株式会社が公開している公式ガイドラインおよび弊社事例に基づき、独自に考察・解説したものです。